境界上
.
*゜+。*。*゜+。*。*゜+。*。



「……はぁ―…」


一応、念の為に言っておく。

今日みたいな“朝帰り出社”は、この3年散々していてすっかり慣れている。

付け加えて、現在進行形の残業もこれに然り。

(前者程“散々”ではないけれどそれなりに。)


……なら。

この、今朝からずっと続くアンニュイな気分は。

正月明けにもかかわらず、梅雨よりジメジメした自己嫌悪のような感覚は。


やはり、思い当たる原因は端から一つだ。


――今朝の“何で”病。

絶対、アレにアテられ続けてるに違いないわ。


「はぁ……ミオのヤツ」


今日、何度目になるかわからない溜め息と独り言をまた一つ増やして。

『矢沢! この書類、帰りでいいから営業部な』


更に気の滅入る営業部への“おつかい”に最後の力を振り絞る。


……まぁ要領のイイ男だから、21時を回って居る筈もないんだろうけど。


それでも、気分的にはものすごく。

今日だけは近寄りたくなかった“営業部”。


……去年の人事異動で、今、蓮の拠点となっている部署だ。




< 10 / 46 >

この作品をシェア

pagetop