境界上
.
“男のポーカーフェイスを崩してやりたい”
……なんて。
そんな感情に駆られたのはいつ以来だろう?
思ってもみなかった久々ド真ん中の“上等”文句に。
口惜しくも思わず脈拍が乱れてしまった。
こんな“ハズせない”場面で、しれっと更にハードルを上げてくれちゃって。
この男、一体どれだけの場数を踏んできたのかしら?
(むしろ“満足させられない”というワード自体、自分の辞書には載って無いって口振りだったわよ。)
しかも、それが不遜に感じない。
――これは一層、その挑発的な瞳の奥の揺れ様が見物だわ。
「……結構な自信家ね」
「否定はしないよ」
ふっと笑いながら。
彼の長い指が丁寧にあたしの髪をすくい上げる。
その、指使いが。
真っ直ぐ見据えてくる、その茶色がかった瞳が。
これまたひどく扇情的で――。
彼のペースに“ノセられてます感”が少し癪ではあったけれど。
「……ねぇ、宮坂くん」
“執着心”は一気に佳境まで駆け上がる。
“男のポーカーフェイスを崩してやりたい”
……なんて。
そんな感情に駆られたのはいつ以来だろう?
思ってもみなかった久々ド真ん中の“上等”文句に。
口惜しくも思わず脈拍が乱れてしまった。
こんな“ハズせない”場面で、しれっと更にハードルを上げてくれちゃって。
この男、一体どれだけの場数を踏んできたのかしら?
(むしろ“満足させられない”というワード自体、自分の辞書には載って無いって口振りだったわよ。)
しかも、それが不遜に感じない。
――これは一層、その挑発的な瞳の奥の揺れ様が見物だわ。
「……結構な自信家ね」
「否定はしないよ」
ふっと笑いながら。
彼の長い指が丁寧にあたしの髪をすくい上げる。
その、指使いが。
真っ直ぐ見据えてくる、その茶色がかった瞳が。
これまたひどく扇情的で――。
彼のペースに“ノセられてます感”が少し癪ではあったけれど。
「……ねぇ、宮坂くん」
“執着心”は一気に佳境まで駆け上がる。