境界上
.


ザッと社内を見渡したダケでも、評判通りの粒揃いが勢揃い。

あまりに尾ヒレの無いまっとうな評価に、ウッカリ品定めするのすら忘れる程だった。

(アタシとしたことが)


まぁでも、ね。

オンナ慣れしてるオーラというか。

……いや、“し過ぎてるオーラ”か。

オンナ癖がかなり悪いのだけは品定めするまでもなく“判る”。


けれど。その辺、アタシも似たり寄ったりな恋愛スタンス。


限定されることなく、誰にでもお手軽にトキめけて。

『友達以上』なんてほんの少し蜜な緊張感がありながら。

『恋人未満』という枠内で済ませられる面倒のない関係。


つまり、彼ら“粒メン”はアタシにとっても、非常に合理的かつ理想の人材なのだ。



折しも、早速開催された『新入社員歓迎会』は名ばかり見え見えの『選り取りコンパ』。


こんな機会、頂かない手はナイわ。




―――この時。

気分は抑揚なく高揚し続けていたから。

だから気付かなかった。


好みのターゲットを値踏みし始めた、

まさに、その時。



『――ユイ?』





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