君ヲ想う。
あたしは蘭と帰ろうとした瞬間、
後ろから菜月さんが話しかけてきた。
「どうしたの?」
「あのさ!!一緒に帰らない?」
あたしらは顔を見合わせた。
「いいよ。帰ろっか。」
あたしは笑顔で言った。
でも、まさかそんなこと言われるなんて思わなかった。


そして、優くんと晃くんは・・・
もうとっくに帰ってしまった。
早いなあ・・・。
って・・・あたし完全に気になってるじゃん!!
嫌・・・やめようやめよう・・・。
考えないほうがいいわ・・・。




「亜衣ちゃんだったよね?
優くんのこと好き??」
いきなり菜月さんからそんな質問をしてきた。
「えっ!!いきなりその質問!?
あたしは・・・好きじゃないけどね。
かっこいいとは思うよ。」
気になるなんて言えないし。
「そっか・・・実はね・・・。」
きっとあたしも蘭も同じことを考えているだろう。
そう、菜月さんが優くんを狙っているってこと。

「実は・・・彼氏できたんだけど、
みんなあたしと優くんが付き合ってるっていうけどね。
そんな関係じゃないから。
もちろん、彼が好き。だけど、そういう意味じゃないのよ。」
あたしはよくわからなかった。
だって、あきらかにあたしを疑ってたわけだし、
なんかすごく仲良かったし・・・。
「え?じゃあ、なんでいつも一緒にいたの?」
「ん?それは・・・元彼に似てたからかな・・。
ま、今その元彼と付き合ってるんだけど、
なんか亜衣ちゃんと喋ってるとこみると・・・
嫉妬しちゃって・・・ごめんね。」
そっか・・そうだったんだ・・・。
「あたしも、ごめんね。疑っちゃった。
でも、あたし・・・好きじゃないから。」
「そっか・・・もし好きになったらさ、
あたしに言ってよ。相談にのるし。
なんでも知ってるからさ。」


そう言って、駅に着いた。
そこで菜月さんとわかれて蘭と二人になった。

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