君と竜が望んだ世界
笑いながら、学園長自らがさぼりを黙認すると言った。
ハーヴェイと話しながら一方で学園長は考えていた。
――生徒に助力を請うのは情けない。
だが、『術士』と呼ばれる、万人が有するわけではない、人を超越する『術力』を持ち、『術式』を操る者の前で、力を持たない、非戦闘員である“一般人”は無力に等しいのだ。
――『術士』と言ってもその術力は天と地ほどの差がある。
ほんの少し術式が使えるだけの、戦闘や争いごとに不向きな、一般人より少し優位という程度の術士。
たった一人で千単位の人と渡り合い、あるいは高位の魔獣に匹敵するほどの術力を有する。
例えいくら歳若かろうが、術力は力を支配する。
まさに一騎当千の戦闘人間。
そして善か悪か、否定も肯定すらもできない、稀有な存在。すべてを圧倒的に凌駕すると言われるほどの術士――
民商連がこの少年に“特権を”というならばきっとそれなりの実力者なのだろう。
もしくは民商連の彼らにとって必要な、何かがあるのだろう。あえて誰にも何も尋ねはしないが、学長はそう信じている。いずれにせよ、この学園の設立意義の助力となるだろう。
「あの、学長?」
少年と民商連と術士で埋まっていた頭がハーヴェイの呼びかけで戻ってきた。
「ああ、すまない。少し考え事をね。
で、確か寮だったかな。街寄りの、門の近くにある寮の五階、最上階だ」
「最上階、ですか」
「そうだ。最上階である5階は君しかいない。
他の部屋より広いし、君の部屋以外は空き部屋だ。それに使わせる予定もない。
だから他の生徒の目も気にせず好きにしていい」
ただ広いだけで、期待はしない方がいいがな。と言いながら
笑った。
「それはとてもありがたいことです。予想以上の心遣いに感謝します」
頭を下げるハーヴェイに、これ位、と言いながら頭をあげるよう促す。
「そういえば学長」
低い声で怒りを込めて話を切り出すハーヴェイ。呼ばれた学長はいきなり不機嫌になった彼を「何事か」と見る。
ハーヴェイと話しながら一方で学園長は考えていた。
――生徒に助力を請うのは情けない。
だが、『術士』と呼ばれる、万人が有するわけではない、人を超越する『術力』を持ち、『術式』を操る者の前で、力を持たない、非戦闘員である“一般人”は無力に等しいのだ。
――『術士』と言ってもその術力は天と地ほどの差がある。
ほんの少し術式が使えるだけの、戦闘や争いごとに不向きな、一般人より少し優位という程度の術士。
たった一人で千単位の人と渡り合い、あるいは高位の魔獣に匹敵するほどの術力を有する。
例えいくら歳若かろうが、術力は力を支配する。
まさに一騎当千の戦闘人間。
そして善か悪か、否定も肯定すらもできない、稀有な存在。すべてを圧倒的に凌駕すると言われるほどの術士――
民商連がこの少年に“特権を”というならばきっとそれなりの実力者なのだろう。
もしくは民商連の彼らにとって必要な、何かがあるのだろう。あえて誰にも何も尋ねはしないが、学長はそう信じている。いずれにせよ、この学園の設立意義の助力となるだろう。
「あの、学長?」
少年と民商連と術士で埋まっていた頭がハーヴェイの呼びかけで戻ってきた。
「ああ、すまない。少し考え事をね。
で、確か寮だったかな。街寄りの、門の近くにある寮の五階、最上階だ」
「最上階、ですか」
「そうだ。最上階である5階は君しかいない。
他の部屋より広いし、君の部屋以外は空き部屋だ。それに使わせる予定もない。
だから他の生徒の目も気にせず好きにしていい」
ただ広いだけで、期待はしない方がいいがな。と言いながら
笑った。
「それはとてもありがたいことです。予想以上の心遣いに感謝します」
頭を下げるハーヴェイに、これ位、と言いながら頭をあげるよう促す。
「そういえば学長」
低い声で怒りを込めて話を切り出すハーヴェイ。呼ばれた学長はいきなり不機嫌になった彼を「何事か」と見る。