君と竜が望んだ世界


「自爆事件……。じゃあやっぱり、あの時の爆発はあいつらの自爆だったのか?」

 脳裏に“あの時”の光景がフラッシュバックする。


“ブブカ地域”

 王国の西端にあり、さらに西奥は不毛で荒廃した砂漠が広がる。

 その砂漠は『生物の生存が最も困難な場所』といわれ、進んで足を踏み入れるような真似は自殺志願者でもしない。

 だがそんな所にも、国が、軍が動く理由があった。

 古代遺跡の存在。
 そこは国直轄で調査が進められ、次々に色んなものが発掘された。

 発掘されたのは、この自国だけでなく、他国にも存在しない先をゆくレベルの新技術だったほとんど発展の進まぬ機械技術や術具技術。

 通信技術、合金製造から、車両や武器等、軍事目的から多岐にわたり今日(こんにち)の生活に馴染んでいる物まであった。




――九年前

 そんな国の最重要施設であるブブカ遺跡の、更なる調査・研究に携わっていた研究員が、他国の軍事機密偵察隊――軍事スパイに拉致された。

 そこの奪還及び人質の救出作戦で“あの時”の事が起こることになる。


 研究所に立て篭もり、人質に取られた研究員を救出するため潜入した建物内部。

 敵を越えながら、作戦は順調に進み、次々と研究員の救助に成功。
 残すは若い、最年少研究員ただ一人となった。
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