君と竜が望んだ世界
退役したとはいえ、軍事機密の口外は硬く厳しく禁じられている。
それに今でも軍を手伝う事もあるのだ。
「それにしても、あの時先にロイたち脱出させといてよかったよ。実は巻き込まれてんじゃないかー、とか考えてさ。
死んだ部下たちには悪いけど……ロイが生きててくれてよかった」
ハーヴェイはふわりと顔に満面の笑みを作って見せた。
しかし、すぐに浮かない顔をしたまま大人しいロイをみて口を開いた。
「……ロイ。聞きたくてたまらないんだろ、理由を」
一息ついたハーヴェイがやんわりとロイを向く。
──時が経とうとも、親友には隠せないな──
ロイは本音を言うとどうしても聞きたかった。ハーヴェイがなぜ生きているか、どうやってあんな状態の中を生き残ったのかを。
でもあの時の被害者たる本人ハーヴェイに、そのおかげで生き残った自分から聞くのは気が引けて、怖くて、申し訳なくて……言い出せなかった。
「……俺が、『混血』だからだ」
静かにハーヴェイが声を絞り出した。
それは確かにロイがもつ疑問への回答だった。
だがロイは深くは考えていなかった。どこの国の血だよ、と軽く考えたのだろう、あまり驚きを見せずに尋ねた。
「こん、けつ? ハーフだったのか、お前! で、どの人種と?」
真剣に話すハーヴェイだったが、ロイはそれがどうした、という態度で軽く返したのだ。
「いや、クオーターなんだ。
……イルブスの」
それに今でも軍を手伝う事もあるのだ。
「それにしても、あの時先にロイたち脱出させといてよかったよ。実は巻き込まれてんじゃないかー、とか考えてさ。
死んだ部下たちには悪いけど……ロイが生きててくれてよかった」
ハーヴェイはふわりと顔に満面の笑みを作って見せた。
しかし、すぐに浮かない顔をしたまま大人しいロイをみて口を開いた。
「……ロイ。聞きたくてたまらないんだろ、理由を」
一息ついたハーヴェイがやんわりとロイを向く。
──時が経とうとも、親友には隠せないな──
ロイは本音を言うとどうしても聞きたかった。ハーヴェイがなぜ生きているか、どうやってあんな状態の中を生き残ったのかを。
でもあの時の被害者たる本人ハーヴェイに、そのおかげで生き残った自分から聞くのは気が引けて、怖くて、申し訳なくて……言い出せなかった。
「……俺が、『混血』だからだ」
静かにハーヴェイが声を絞り出した。
それは確かにロイがもつ疑問への回答だった。
だがロイは深くは考えていなかった。どこの国の血だよ、と軽く考えたのだろう、あまり驚きを見せずに尋ねた。
「こん、けつ? ハーフだったのか、お前! で、どの人種と?」
真剣に話すハーヴェイだったが、ロイはそれがどうした、という態度で軽く返したのだ。
「いや、クオーターなんだ。
……イルブスの」