君と竜が望んだ世界
「十五だ」

「嘘をつけっ、嘘を! 六歳で大尉になったやつなんざ見たことも聞いたこともない。そもそも軍には入れん」

「即断かよ……」

「で、九年前に軍で、士官学校も出ずにたった二、三年で大尉にまでなったやつが今十五歳のはずないよな、ほんとはいくつだ?」


「まぁでも嘘じゃないと言えば嘘じゃない」

「はぁ?」

 よくわからん、と言いながら首をかしげる。

「俺がイルブス……エルフだって言ったろ。
長生きなんだよ、普通の人よりゆっくり年をとるんだよ、この血は」


「あー、そういや普通の人間より長生きする種族がいるのを聞いたことはあるが」


「大体三倍以上は生きるらしい。だからクオーターとはいえ、俺も長くて普通の人間の二倍くらいは長生きするだろうな」


「なるほど……。そりゃ国も軍も研究者も欲しがるわけだ。強いだけじゃないんだからな」

 異種族の血の力を欲する理由を納得しながらため息をついた。

「そ。だから、普通の人間に換算して十五歳」

 ロイににっこりと笑顔を向けて言った。

「てことは……」

「それでも生まれてまだ三十年。ロイよりは若いよ」

「俺よりはって三つしか変わんね―じゃなぇか。
 それにしても三十歳か。それなら納得だよ」

 ハーヴェイに感じていた違和感と疑問が一気に解消されていったようだ。

「三十歳なんて言い触らすなよ、まぁ本当の事だけどさ。でも見かけは十五歳くらいだろ?」

「一応今は高等一部の学生だし」と笑って言った。


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