君と竜が望んだ世界
「学長のお墨付きでサボれるんだぜ、俺。本人の口からもお許しが出てるしな」



 学園でそれの示す意味を知らないものはいない。ロイはぐぅの音を出す間もなく、ハーヴェイの上に立ってみたいという希望を諦めた。



「あーっと、頼むから、俺の授業は出でろよ! どうしても、絶対に! 何が何でも! 頼むから。
 たまには俺も本気で体動かしてぇんだよ~」


 媚びるようにすがりつくロイを見てニヤリと笑う。


「ほぅ、ではそれは果たし状と受け取った。ま、楽しくやろうか。
 早速存分にロイを地に這わせることが出来る、ロイ先生のロイ先生によるロイ先生の為の授業だもんな。楽しみ楽しみー」


 上から目線を投げかけるようにふざけた口調になる。

「おい、それはいいが九年前の俺と一緒にすんじゃねえぞ。
 こちとら教師やりながら鍛えてるんだ。退役軍人をナメてもらっちゃぁ困るぜ」

 腕組みしてハーヴェイにずいっと歩み寄る。そんなロイに負けじと言い返す。


「俺だってこの9年間、フラフラと世界を歩いてたわけじゃないよ。そっちこそ殉職軍人ナメんじゃねーぞ!」


「おいおい……。シャレになんねーよ、ソレ」


「ほらほら、運動の時間だ。みんな待ってる。行くぞ」


 殉職軍人学生に促された退役軍人教師が慌て訓練場に目を向ける。




 親友との再会に安堵を、親友との手合わせに心を弾ませ、これからの生活を思いながら部屋を出た。
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