君と竜が望んだ世界
ロイの最後に構えた防御は不完全に終わった。
咄嗟に庇った、脇腹を狙った蹴りは正面の、腹部へのダメージへと変わり、壁に叩きつけられて受けた背面のダメージと相乗して痛みが増す。
「油断大敵、いや、油断していたわけじゃないだろうが、ま、読みの甘さって所だな」
苦痛、悔しさ、諦め、と順に表情を変えた後また苦痛に戻る。そんなロイに笑いかける。
「元教官を甘く見てたな。ま、死んでる間も鍛えてたってことだ」
ロイの腕を取って引き起こしながら大きな声で話しかける。
「制御リングの数値抑えすぎですよー、ロイ先生。
いくら俺が高等部に見えないからって中等部レベルに合わせて設定するなんて非道いなあ」
立ち上がったロイに腕を組んで背を向けながら、大きな声で不満そうに言った。
わざとらしいその態度に一瞬、目を見開いて怪訝そうな顔をしたロイは、すぐ表情を戻し、申し訳なさそうに、うなだれながら応答した。
「い、いや~、ごめん、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。別に中等部に見えるなんて事は……」
そんな会話もきっちり耳に入れていた生徒たちは、尋ねる間もなく納得することとなる。
かくして、ロイ先生のハンデを装った二人の久しぶりの戯れ(手合わせ)は、各種、色の混じった数々の視線に晒されながら幕を閉じた。
咄嗟に庇った、脇腹を狙った蹴りは正面の、腹部へのダメージへと変わり、壁に叩きつけられて受けた背面のダメージと相乗して痛みが増す。
「油断大敵、いや、油断していたわけじゃないだろうが、ま、読みの甘さって所だな」
苦痛、悔しさ、諦め、と順に表情を変えた後また苦痛に戻る。そんなロイに笑いかける。
「元教官を甘く見てたな。ま、死んでる間も鍛えてたってことだ」
ロイの腕を取って引き起こしながら大きな声で話しかける。
「制御リングの数値抑えすぎですよー、ロイ先生。
いくら俺が高等部に見えないからって中等部レベルに合わせて設定するなんて非道いなあ」
立ち上がったロイに腕を組んで背を向けながら、大きな声で不満そうに言った。
わざとらしいその態度に一瞬、目を見開いて怪訝そうな顔をしたロイは、すぐ表情を戻し、申し訳なさそうに、うなだれながら応答した。
「い、いや~、ごめん、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。別に中等部に見えるなんて事は……」
そんな会話もきっちり耳に入れていた生徒たちは、尋ねる間もなく納得することとなる。
かくして、ロイ先生のハンデを装った二人の久しぶりの戯れ(手合わせ)は、各種、色の混じった数々の視線に晒されながら幕を閉じた。