君と竜が望んだ世界
　　　――◇――
　
　空いてる時間をロイの部屋で過ごすのが当たり前になりつつあった、ある日の午後。ドアのノック音と共に生徒が姿を現した。


「失礼します。ロイ先生、時間ですよー」

「あぁ、過ぎてたか。悪いなジェイク」


　午後の授業が始まり、呼びに来たのはハーヴェイと同じクラスで、ロイの教え子であるジェイク･バーネットだった。

　そこにハーヴェイがいる事には驚きもせず、ただ羨望の視線は向けられた。


　ハーヴェイは、入学してからずっと、全校生徒の憧れとも言うべき存在ロイ･アシュレイと、あまりに親しくしていたので、顔を合わせる度クラスメイトから質問責めにあった。


　そして丸く納めるため、あらかじめロイと口裏を合わせていた通り、“昔近所に住んでいたお兄さん”と公言して回ったのだ。


　それを信じているためか、おかげで親しげな様子を疑う者はいない。


　「ロイ先生の実技の授業」と、ジェイクに促された二人は、過去に飛んでいた頭を一気に現実に戻し、訓練所へと向かった。

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表紙・目次

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