王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
メンバー選抜
ドルメックは討伐部隊の専用宿舎から、城へ向かって歩いていた。
もうすぐ夕方の会食が始まるからだ。
正直、食事の為だけの宿舎と城の往復にはいい加減飽きていた。
(…馬鹿馬鹿しいにも程がある…)
既に全ての部族が集結し顔合わせは済んでいる。
習慣も趣味嗜好も違う者達が集められているのだ。
今更足並みを揃えようとして出来るものでもない。
思わず頭を横に振っていた。
首に下がるペンダントがぶつかってカチリと鳴る。
クラウンに作って貰った、両親の核石のペンダント。
石を囲むように紐で編み込んで二つを並ぶ様に繋げている。
革の紐で首から下げる形だ。
細工職人なだけあって、しっかりとした造りになっている。
胸元に確かな温もりを感じ、安心出来た。
(クラウンに感謝しないとなぁ……)
そんなことを考え、口の端を釣り上げる。
――…バシッ!
「なぁ〜に一人でニヤついとるんやっ!?
…イヤらしいなぁ〜♪」
勢い良く腰の辺りを叩いてきたのは勿論クラウン。
衝撃で前に倒れ込みそうになる。
ジロリと睨みを利かせて振り向くと、ドルメックの比にならない程ニヤけ顔のクラウン。
「何かええ事あったん?」
「アンタにペンダントの礼の一つもしなきゃと思ってたんだが…。
今のでそんな気分も失せたよっ」
ドルメックは腰を擦りながら言い放った。
クラウンが喰い付く。
「なんやと?わしの腕前は、上流階級御用達や!
腰の一発どついた位でチャラになるかっ!」
「うるさい馬鹿力っ!
俺の細腰が砕けたらどうしてくれる?!」
お互い立ち止まっていがみ合う。
その様子に吹き出す声。