王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐



ドルメックが担当する東北のドラゴンは、広大な大草原地帯に巨大な穴を穿ち住み処としているという。

見渡す限りの平地で身を隠せる様な死角は存在しない。


「ギリギリまでバレずに近付くには、ドラゴンが住み処に居る時…。
風下から出来る限り迅速に静かに近付く必要がある」


ドルメックが広げた大陸地図を見ながらベリルが言った。

バジルがパンパスを示す。


「それならパンパス君の出番なんじゃねぇの?
風を操れるんだろ?」

「そんなこと、ワザワザバジルさんが言わなくても皆が分かってますよ…。
問題なのは、『ドラゴンが住み処に居る』って所です。
つまり、ドラゴンが寝入っている時がいつなのかが知りたいんですよ…」


呆れた様にグレードがバジルに突っ込む。
盛大な溜息のオマケ付きだ。

バジルの額に青筋が浮かぶのが見えた。
他の者達が居る手前、怒りを堪えている様だ。


それを分かって敢えて何事も無い風にベリルは話を進めた。
首から下げている、乳白色の滑らかな角笛に触れながら言葉を紡ぐ。


「ふむ、ではドラゴン本人に聞いてみるかね?」

『……はぁっ?!』


唐突に放たれた意味の分からない台詞に、セシエル以外の全員の声が重なった。




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