王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
「なんや、『智の龍』なんて大層な呼び名付いとるから何者や思うとったら…。ヴァラオム、あんさんかいな…」
不敵な笑みを浮かべ、ヴァラオムと呼ばれている白いドラゴンに話し掛けるクラウン。
妙に親しげだ。
[…若き我が友に呼ばれて来た筈が、古くからの友まで居るとは思わなんだ]
「知り合いだったのかね?」
目を細めて笑み――であろう表情を浮かべて話すヴァラオムに、ベリルが声を掛ける。
[お前よりも古くからの仲だ。
めっきり会う機会も減っていたがね]
「確か5、60年位前からやったか?」
その台詞にヴァラオム以外の全員の視線が、どう見ても十代にしか見えない少女に注がれる。
クラウンはキセルを燻らせ、事も無げに言い放った。
「わしは、あんた等人間の数え方でいけば180歳やで」
『―…えぇぇ〜っ?!』
驚きを隠せない。
当の本人とヴァラオム、そして何故か驚かないベリル。
それ以外の全員の声が、朝靄の煙る丘に木霊した。