王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
「雷電の民は長生きなんや。
そない驚くことでも無いやろ?
永いこと生きとると、先を逝く友が多い。
お互い永く刻を紡ぐ者同士、共に見送る悲しみを分かつ間柄や…」
ヴァラオムと目を見合せ、苦い笑み。
普段の明るい彼女の中の影が垣間見えた気がした。
[して、私を呼んだ理由は何だ?
まさか世間話をする為に呼んだ訳ではあるまい?]
流石年の功、ヴァラオムが話を引き戻してくれた。
セシエルが、ヴァラオムに説明し始める。
「俺達、東北地区のドラゴン討伐担当になったんだ。
それで、東北地区って大草原で死角が無いから、ドラゴンが確実に住み処に居る時を狙いたいんだ。
ドラゴンが確実に身体を休める時間帯とか、分からないかな?」
聞いたヴァラオムは、暫く考え込む。
『智の龍』が口を開くのを、全員が固唾を飲んで見守った。
[ドラゴンという生き物は元来、闇の属性に近いものだ。
可能性があるとすれば、まさにこれから…。
朝日が昇る、光が闇を取り払う時間帯ならあるいは…]
「っていうことは、今すぐ出なきゃ間に合わないんじゃないのか!?」
「…いや、今からでは移動しているうちに朝を迎えてしまう。
明日の日の出前、準備を万全に整えて出発だ!」
焦るバジルに、ベリルが冷静に全員へ指示する。