王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
[ところで、君は風のピューマを連れているかね…?]
「分かるんですか?!
風のピューマは草原の民の中でも、ある一定以上の能力が備わっていないと見えないのに…」
突然のヴァラオムの問い掛けに、驚いたパンパスが思わず声を上げた。
仰ぎ見るパンパスに、穏やかなヴァラオムの声が答える。
[いいや。ただ、君の纏う風は草原の民が暮らすパンパに吹く風と同じだったのでな…。
以前出会った草原の民の男が、パンパの外の風に相当手こずっていると話していたのを思い出したのだ。
そういえば何処と無く、君に似ていた様な気もするな…]
見詰める先に違う面影を思い出す様に、ヴァラオムは目を細めてパンパスを見た。
ヴァラオムの言葉に、対照的に目を見開くパンパス。
一度、気持ちを落ち着ける様に下を向き、ゆっくりと顔を上げて話始めた。
「もしかしたら、本当に私の父かもしれません。
私が討伐に出てきたのは、旅に出て以来消息を絶った父を探す為でもあるんです…。
もし宜しければ、その男性について詳しく教えて頂けませんか?」
思わず自身の胸元を握り締めるパンパスに、誰の目にも止まることの無い風のピューマが気遣わしげに寄り添っていた。