王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
――グレードと目が合う。
初めて言葉を交わした時、その強気な眼差しと医師としての責任感に、信頼出来ると思った。
ドルメックの視線に応える様に、ゆっくりと頷く。
――グレードの隣に佇むサポートのバジル。
何だかんだで、いつもグレードを気に掛け、気負い過ぎない様に見守る姿は好ましく思えた。
見詰める先の表情は、口の端を上げ不敵に笑っていた。
――類似した過去を持つクラウン。
己の答えは自ら導き出せと、先を行く彼女は示してくれた。
キセルを燻らせ、バチッとウィンクしてきた。
――穏やかで戦いに身を置く者とは思えない、ベリルのサポート役のセシエル。
人を思いやる心遣いに、毒気を抜かれた。
今も、変わらず穏やかに微笑みを向ける。
――全てを見透かす様に、ドルメックの在り方を説いたベリル。
厳しいながらも偽りなく語る言葉は、人の心に響く。
相変わらず無表情に見詰めるエメラルドの双鉾。
――そして更に後ろに佇むヴァラオム。
『智の龍』の威厳のある雰囲気が、明日の戦いに安心感を与えていた。
――再度、パンパスに向き直る。
何も言わず、ただ一度だけ頷いた。
皆を信じて、心を開くこと…。
壮絶な過去を持ち、闇に生きてきたドルメックには難しいことだ。
それでもドルメックは、前に進む強さの意味を、やっと理解した気がした。