王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
後ろから現れたのは、ベリルとセシエル。
先程吹き出したのはセシエルらしい。
口元に手を当ててクスクス笑っている。
「ふふふっ。仲良しだね〜」
ベリルも普段はなかなか動かない表情に苦笑いを貼り付けていた。
呆れた様に話し掛けてくる。
「もうそんな軽口を叩ける様になったのかね?
これならドラゴン討伐の時も大丈夫そうだな…」
そう言うベリルの肩越しに、城へ向かう討伐メンバーが続々やって来た。
このままここで居ると邪魔になりそうだ。
微笑ましげに見詰めてくるセシエルに視線を向け、ドルメックは肩を竦めた。
(…本当に仲が良いと思われても癪だしな……)
未だにぶつくさ言ってるクラウンを適当にあしらい、城へ向かう事にした。
「…行くか…」
ドルメックは夕焼けで朱に染まる城を振り仰いだ。
住み処に帰る鳥の影が、鮮やかな紅い空に黒いシミを拡げていた。