王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
もう一度皆を見渡し、ドルメックは苦笑して肩を竦めた。
「努力するよ…」
今出来る、精一杯の返答。
それでもドルメックにとって、変わろうという意思が芽生えた瞬間だった。
気を取り直し、明日の討伐の為にヴァラオムに聞いておきたい事を口にする。
「ドラゴン達は、明らかに魔力の籠った品や、魔力の集中している場所を襲撃してるだろ。
元々魔力の高いドラゴンが、魔力による攻撃を然して恐れるとは思えない。
何故そんなものに固執するんだと思う?」
ドルメックのその問いに、ヴァラオムが考え込む。
[うぅむ、そうだな。
確かに、不自然なことではある。
あと考えられるとすれば、王都襲撃の為の魔力の補充といった所だとは思うが…。
莫大な魔力を必要とする理由が、どこかにあるのかもしれんな]
魔力が必要な理由…。
魔力が高いドラゴンが、自らの魔力を持ってしても補い切れないなどという訳がない。
それこそ、予測も出来ない『何か』があれば話は別だが…。
ドルメックが思考を巡らせていると、バジルのあっけらかんとした台詞が飛んできた。
「まぁ、ここで悩んでたって仕方ねぇよ。
明日の今頃にはその理由もハッキリしてるだろ!」
その台詞を聞いたグレードが、頭を抱えたのは言うまでも無い。