王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
お互いに何か言いた気な様子で視線を交わすイースとガイオス。
結局何も言わずドルメックに向き直った。
「貴方は、早朝にこんな場所で何をしていたのかしら?
朝の散歩にしても、こんな壊滅地区にワザワザ来たりなんてしないわ」
若干訝しむように聞いてきた。
確かに、こんな時間にこんな場所をフラフラしている人物など怪しいことこの上無い。
疑惑の眼差しを向けるイースに、肩を竦めて有りのままを伝える。
「俺達のチーム、ちょっとした事情があって早朝ミーティングだったんだ。
明日討伐に向かうんだが、俺は他の連中と違って、今更戻って準備する物なんて無くてな…。
君の言う様に、暇を持て余して散歩をしてたんだ。
そしたら、朝の静寂を拭い去る綺麗な歌声が聴こえてきたって訳」
「散歩していた理由は分かったが、こんな所にいる理由はまだ解けて無いぞ」
今度はガイオスが問い詰める。
イースはまだしも、傭兵であるガイオスを信用させるのは骨が折れそうだ。
「…俺だって、こんな所に辿り着くとは思ってなかったよ。
俺が散歩してたの、ここから2ブロックは離れた地区だぜ?」
溜息混じりに、呆れを含んだ声音で告げる。
その言葉に、二人は目を見張っていた。
その反応から、イース達にとっても意外だったようだ。