王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
「もちろん構わなくてよ?」
「それに答えるのは、直接対峙する俺なんじゃないのか」
何の戸惑いも無しに返事をするイース。
爽やかな笑顔を見せるイースに、すかさず反論するガイオス。
盛大な溜息を吐き、乱れたままでも美しく煌めく銀糸の髪を揺らし首を振る。
その姿さえ様になる。
「分かっていないわね、ガイ。
わたくし達はドラゴンと戦うのよ。
生身の人間の特殊な攻撃すら凌げなくて、勝てる訳が無いじゃない」
至極最もな意見に、二の句を継げなくなってしまったガイオス。
屈強な傭兵も、この少女の前では形無しである。
「……わかったよ。
だが、せめて実際の身体能力を知ってからだ。
どれ位の実力かも分からずに能力を上げられたら、流石に堪らん…」
これがガイオスに出来る、精一杯の抵抗だった。
だが、それにドルメックが難色を示す。
「だから、俺は戦闘向きじゃないって言ってるだろ。
いくら鞘付きって言ってもそんなデカイ剣でやられたら骨が折れるぞ」
「当たればな…。あんたの武器は素早さだろう。
そんなに言うなら、お互い素手でやるか?」
そう言って剣を地面に置いた。
ドルメックも男である。
そこまで言われたら、引き下がれなかった。
大きな嘆息の後、了承の意を伝える。
「…わかった。
きっと、がっかりすると思うぜ」
そう告げ、戦闘態勢を取った。