王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
討伐メンバーの食堂と化している大広間には、今日も無駄に豪華で大量の料理が並べられていた。
――いつもと同じ光景。
しかし、今日はいつもと違う事が一つだけあった。
いつもは討伐メンバーと給事係しか居ないのに、何故か今日は宰相が大広間に待ち構えて居たのだ。
宰相の醸し出す物々しい雰囲気に、他のメンバーがざわついていた。
(…腰巾着が…。
食前に姿見せんなよ…。
飯が不味くなるだろうが…)
ドルメックは、この寸詰まりで小肥りの宰相が嫌いだった。
顔を付き合わす度に嫌味を言ってきたり睨み付けてきたりするからだ。
確かに王族…いや、王国自体に反感を持っていて、それを隠そうとしない…。
それどころか全面に押し出してると言っても過言ではないドルメックを、気に入らないというのは分かる。
しかし、国政に深く関わり国王の意を実行する者が、こんなに感情的でいいのだろうか。
今日も勿論、ドルメックに向かい肉に埋もれた小さな目で睨み付けてきた。
取り繕う様に咳払いをして討伐メンバーの視線を集めると、仰々しく国王の捺印が押された書簡を開いた。
全員をゆっくりと見回して、勿体つける様に話始めた。
「只今から、国王自らが選別した、ドラゴン討伐部隊のメンバー振り分けを発表する」