王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
大したことじゃ無いんだけどな…と前置きして肩を竦めた。
「あんたは強く踏み込む瞬間、後ろ足の爪先が開く。
その癖を見て攻撃を読んだんだ」
「それだけか?」
目を見開きガイオスが呟く。
たったそれだけの癖でガイオスの攻撃を回避し、あまつさえ反撃に打って出たという。
大したものだと感心していると、ドルメックが呆れた様に答えた。
「癖は他にも見つけたが、手合わせする相手にワザワザ自分の手の内バラす訳無いだろ」
『それだけ』の意味を勘違いしたドルメックに苦笑して、ガイオスが捕捉した。
「言い方が悪かったな…。
そういう意味じゃなくて、そんな些細な癖だけで俺の攻撃を見極めていたのかって言いたかったんだ」
「…二人で盛り上がるのは構わないけど、そういう話は特訓の後にして貰えるかしら?」
いつの間に近付いて来たのか、イースが不機嫌そうに二人を上目使いで睨んでいた。
一人茅の外だったのが不満だったらしい。
「あぁ、悪い悪い」
そう言って、ドルメックは頬を膨らますイースの頭を撫でた。
ガイオスも苦笑いを浮かべている。
「わたくしが見る限り、サポートが必要には見えなかったのだけれど…。
どう思うかしら、ガイ?」
「確かに、サポートなんかされたら堪らんな…」
ガイオスが渋い顔で答えた。