王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
「おい、話が違うだろ!」
その発言に、ドルメックは慌てて言った。
「大丈夫よ。
攻撃に対する耐久性を上げる唄は唄って差し上げるわ」
ニッコリ笑顔を見せ、イース。
これは、抗えそうにない。
そう思わせるだけの、有無を言わせぬ迫力があった。
思わず溜息が漏れた。
ポンっと、肩に手が置かれる。
勿論そこにはガイオス。
何も言わない様子に、ガイオスの苦労が滲み出ていた。
「…アンタも大変だな…」
思わず呟いていた。
それに肩を竦めるだけで答えるガイオスだった。
男達のやり取りも意に介さず、イースはパンっと手を叩いた。
「さあ、そうと決まれば特訓開始よ!」
唄詠みの民との特訓は、人々が活動を開始する時間帯まで続いた。
思いもよらぬ事ではあったが、明日の戦いへ向けての良い肩慣らしになった。