王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
イース達との特訓を終え、二人と別れたドルメック。
思わぬ肉体の酷使に気だるさを覚える。
活動を始めた街の人々を横目に、汗で冷えた身体を震わせた。
朝の空気はまだ少し冷たい。
(…一度宿舎に戻って風呂にでも入るか…)
そう思い、城の方向に歩を進めた。
すると、前方からガラガラと車輪の回る音と共に声が聞こえてきた。
「よう、ドルメックじゃねぇか!
こんな時間に何してんだ?」
目の前に現れたのはテイシン。
後ろに引く荷車には、大小様々な箱や、束ねられた書類が積み上げられている。
どうやら朝の配達のようだ。
「俺の討伐チーム、早朝ミーティングがあってな…。
終わった後、暇を持て余して散歩してた。
アンタは討伐メンバーに選ばれてるっていうのに、仕事もやるなんて大変だな」
「あぁ。ま、俺はファンタジアで最も優秀だからな!
あちこちで引っ張りだこなんだよ。
出来る男は辛いぜ〜!」
ドルメックの言葉にワハハっと笑って答えるテイシンは朝からテンションが高い。
それに苦笑を漏らしながら、ドルメックは言った。
「討伐メンバーの編成、俺と一緒じゃなくて良かったな」
ドルメックもなるべく核石の力は使いたく無いが、万一ということもある。
いざ使うとなった時に被害は最小限に留めたい…と思って事前に話していた筈だ。
同じチームになったら出来るだけ近寄るなと…。