王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
決戦の刻
煌めく星空の下、暗闇の中にドルメック達は再び集結していた。
――皆準備は万全。
いつでも戦える状態だ。
例によって、ベリルが乳白色の角笛を吹く。
程なくして現れたヴァラオムは、暗闇から白く切り離され幻想的な情景を醸していた。
バサリッと器用に翼を畳み、丘に降り立つ。
[…さて、皆覚悟は出来ているな…?]
ヴァラオムのその言葉に、一同無言で頷いた。
指揮を取るベリルが、説明を始めた。
「移動手段を持つ者には、事前に話してあるが…。
今回、ドラゴンの元へは空から向かう」
それを聞いて、ドルメックは隣にいるパンパスを見た。
「だから君は、そんな道具を持ってるのか?」
パンパスは木の棒で骨組みされ、鞣し革を張った船の帆の様な物を所持していた。
大きさは縦約2メートル、横約3メートル程の三角形で、パーツの一つ一つを組み立てる形状の物のようだ。
「はい。これは草原の民が中距離移動の時に使う道具で、私達は『風切り羽根』と呼んでます。
帆に風を孕ませて、空気抵抗で浮力を得て飛行することが出来ます」
風を操る草原の民ならではの道具だ。
見た所、一人用だろう。
「ヴァラオムに3人乗せて貰うとして、残りの3人はどうするんだ?」
セシエルがベリルに問い掛けた。
それに答えたのはベリルではなく、その陰からヒョイッと顔を出した人物。
「わしや」
ニッと笑ってクラウンが言った。