王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
「セシエル、パンパス。
2人には攻撃の援護を頼む。
セシエルの矢には、事前に魔法を籠めておく。
そうすれば、ドラゴンの硬質な鱗でも貫くことが出来るだろう。
パンパスの風切り矢も、攻撃力は申し分無い筈だ」
「…ああ、わかった。
ただしお前がヤバそうだったら、俺もクラウン同様に前線に出てくからな」
やや不満気なセシエルが、ベリルに釘を刺した。
心配で堪らないといった体だ。
パンパスは与えられた役割に得心した様に頷いた。
最後に残ったドルメックに、エメラルドの双眸が向けられる。
「ドルメック、君には囮として動いて貰いたい。
…というか、ドラゴンの意識は必然的に君に向く筈だ。
ドラゴンが魔力に反応するのであれば、[民の雫]を多数所持する君が一番狙われ易いだろう。
とても危険な役回りだが、盗賊のスキルを活かして切り抜けてくれ」
「…俺には仲間を手元から離すことなんて出来ないからな。
向こうが俺に狙いを定めてくるなら、死ぬ気で逃げ切るしかないな…」
何となく予測はついていたドルメックは、肩を竦めて答えた。
「私は、隙を付きながら直接ドラゴンを叩く。
皆、それぞれ最善を尽くしてくれ。
ヴァラオム、あんたは全体の状況を見て、サポートして欲しい」
[言われずとも解っている…。
皆、心して掛かれよ。
最後まで生きる事を諦めてはならない。
諦めなければ道は開けるのだからな]