王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
ヴァラオムの背に流浪の民2人とドルメックが乗り、クラウンが獣化し癒しの民の2人を乗せる。
獣化したクラウンの能力に引かれ、黒雲が立ち込めてきた。
「パンパス、本格的に荒れる前に風に乗っとき!
早よせな操れへんよ?」
その言葉に応えるように、パンパスは風切り羽根を掲げ丘を駆ける。
そして勢い良く地を蹴り空中に飛び出した。
風のピューマと共に荒れ始めた風を操り、見事に気流に乗る。
安定したことを示す為、一度大きく旋回した。
それを確認して、ヴァラオムとクラウンも空中に飛び出す。
先程まで明るい光を放っていた白んだ月と、淡く煌めく星々は成りを潜めていた。
黒く厚く立ち込める雨雲が、ゴロゴロと唸る。
青白い光を孕んだそれは、今にも大粒の雨を産み落としそうである。
漆黒に銀の虎柄の獣と化したクラウンは、1メートル程に伸びたマーブル模様の角を空に向けて目を細めた。
ニヤリと口角を吊り上げる。
「久し振りやなぁ…、えぇ感じや。
力がみなぎってくるわ」
普段と変わらないクラウンの金の瞳が爛々と光っている。
それに呼応するかの様に稲光が走った。
「それでは、行くぞっ!」
ベリルが声を上げ、出発を告げた。