王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
荒野の激戦
ドラゴンの根城――草原地帯へと急ぐ一行。
夜明けは、すぐそこまで迫っていた。
激しい雷雨が討伐メンバーに降り注ぎ、視界を遮った。
ゴウゴウと唸る強風に煽られ、パンパスが体勢を崩す。
「――っ!パンパスっ!」
いち早く気付いたベリルが叫ぶ。
それに反応してドルメックは、鉤付きのワイヤーを取り出し風切り羽根の支柱部分目掛けて放った。
――ガキンっ!
「〜っ手伝ってくれ!」
見事に支柱を捉えると、3人掛かりでワイヤーを引き上げた。
[…!むっ…]
1人分重量を増した事でヴァラオムも体勢を崩し掛ける。
が、より大きく羽ばたく事で軌道を安定させた。
「すみません!もう大丈夫です!」
風を捉え直したパンパスが、唸る風に負けじと叫んだ。
それを確認し、ドルメックは鉤を外しワイヤーを回収した。
「もう少しでドラゴンの住み処に着く!
気を引き締めて行くぞ!」
ベリルが声を張り、間近に迫った決戦の時を告げた。