王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
狙い定めた矢は、見事ドラゴンの右目を穿つ。
[オォォーーンッ!]
予想だにしない痛みに叫び声を上げる。
ベリルはその隙にドラゴンの身体から跳び退く。
他の討伐メンバーも、ベリルの元へと降り立った。
「クラウン、君はあのダガー目掛けて電撃を放て!
そうすれば、体内までダメージを与えることが出来る筈だ」
「なぁ〜るほどな。任しとき!」
言うが早いか、獣化したままのクラウンは再び空中に躍り出た。
ヴァラオムもそれに続き、荒れた空に羽ばたく。
[人間共メ!姑息ナ真似ヲシオッテッ…!
我ヲ討トウナドト、身ノ程ヲ知ルガヨイ!]
残った左目でドルメック達を捉え、地の底から響く様な声でドラゴンが叫ぶ。
「コイツ、人の言葉がわかるのか!」
「今更何を言ってるんです、当たり前でしょう」
バジルが驚いたように呟いた。
それを聞き逃すこと無く、グレードがバッサリと切り捨てる。
元々ドラゴンは高い知能を持ち合わせている。
人語を解しているのも当然だ。
「じゃれ合ってる暇は無さそうだぞ。
ベリル、アンタあんなデカブツ相手に接近戦なんて出来るのか?」
ドルメックが、視線はドラゴンに向けたまま問い掛ける。
問われたベリルはグラディウスを構え、口の中で呪文を唱える。
「…やり方次第、とだけ言っておこう。
私よりも、自分の心配をした方がいいだろう」
エメラルドの光を纏った剣を握り直し、ドルメックに言い放つ。
案の定、ドラゴンはドルメックに――もとい、ドルメックが持ち合わせている魔力に興味を抱いた様だ。