王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
(…なんだかんだ言っても、いざという時冷静に動けるのはバジルの方か。
若くて素直なだけに、融通がきかないんだな)
そんな事を考え苦笑するドルメック。
一つ息を吐いて、ベリルに顔を向ける。
「さっきの続きだが、傷を付けるだけでいい。
そこを起点に核石の力を使って吹っ飛ばすから。
俺がヤツの背に乗ったら、皆を出来るだけ遠ざけてくれ」
「大丈夫なのかね?」
ベリルが目を見開いている。
それも当然である。
核石の力を使用する事を何よりも怖れているのは、他ならぬドルメック自身。
それを察しているベリルは、驚きを隠さなかった。
「あの翼は厄介だ。
このままじゃ埒が開かない。
この面子の中で一番破壊力があるのは、俺の核石だろう?
それに、アンタが言ったように仲間に補助して貰うから大丈夫…だろ」
「正確な状況判断で助かる。
君にどう頼もうか思案していたのだ」
互いに頷くと、ドラゴン相手に何とか健闘している仲間の元に走った。