王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐
役目を終えたベリルが、ヴァラオムに回収されるのを横目に見やり、ドラゴンの頭部から滑り降りる。
ぐるりと辺りを見渡す。
(ベリルは回収された…。
グレードとバジルはもとから離れてる。
セシエルとパンパスは…クラウンが乗せてったな)
全員の状況を確認すると、ドルメックの目的地である片翼の付け根に到着した。
ベリルが加えた攻撃によってできた傷口からは、紫色の血液が流れ出している。
それを見詰め、無意識に両親の核石に触れていた。
心臓が早鐘を打つ。
(……出来るか?!
いや、やらなきゃいけない!)
ドラゴンが苛立ち、暴れ始めた。
躊躇などしてはいられない。
蠢き激しくうねる足場にしがみ付き、ドルメックは意識を右目に集中させる。
ドクドクと早鐘を打つ心臓の音が耳元でやけに大きく聞こえた。
魔力の解放を促し、一点に集中させた。
覚えのある、痛み…。
「っく!…ぅあっ」
慣れない力の解放に、身体がついて来ない。
右目が焼ける様に痛かった。
(父さん、母さん!っ…皆。
俺に力を貸してくれ!)
ドルメックは、一気に魔力を解放した。
「…ウオオォォオオッ!」
暗雲立ち込める草原に、眩い閃光が辺りを満たした。