王国ファンタジア【宝玉の民】‐ドラゴン討伐編‐



ドォォオォ…ンッ!


辺りに、轟音が木霊する。


[ギャアァァァアァアアッ]


この世のものとは思えない、身の毛もよだつような叫び声が大気を震わせる。



凄まじい衝撃に、ドルメックの身が弾き出された。


核石の力で防御壁を張るが、自身の繰り出した衝撃波に耐えられない。

勢い良く地面に叩き付けられるのを覚悟した。


「――っ防風陣っ!」


弾き出される感覚の中、その人物の声を聞いた。

ふわりと柔らかい風がドルメックを包み、地面に叩き付けられる寸前でその身を絡めとる。


何事かと思いながらも、記憶の端にあった、作戦会議を思い出す。


(――パンパスの技か―)

軋む身体と右目の痛みに苛まれながらそう思い、地に足を着ける。

ジクジクと病む右目から、熱い雫が筋となって頬を伝うのを感じながら思考を巡らせた。


思いの外遠くにある、片翼を失ったドラゴンののたうつ姿を視界に捉えながら、自身の放った能力の威力に身震いする。


(やっぱり、まだ力の加減が出来ないみたいだな…)


地面に叩き付けられたドラゴンの姿を目の当たりにする。

起き上がろうともがく姿がなんとも滑稽で。


ボロボロの自身の姿と重なり、嘲笑いが込み上げるのを止められない。


「――クククっ…ぅっ!」

込み上げる感情に耐えきれず笑いを漏らすと痛みが走る。
先程の自身が放った衝撃波で肋骨にヒビの入っていたようだ。




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