王国ファンタジア【雷電の民】−ドラゴン討伐編−
広間に着くと、バシラスはクラウンを探した。いつもならばテーブルの近くにいて、片っ端から並べられた料理を食べているはずなのだが…。
(いない?)
おやっ、と視線を巡らせれば…いた。バシラスが入ってきた側の左手に、同じ年頃の男女といた。バシラスのいる位置からは距離があるので何を話しているかはわからないが、随分と会話は弾んでいるようだ。特に険悪な様子も感じられないので、バシラスは放っておくことにした。
しばらくして、宰相が広間へと入ってきた。一瞬広間が静けさに満ち、戦士たちの視線は自ずと宰相に集まる。宰相はぐるりと広間に集まる戦士たちを見渡すと、徐に口を開いた。
「これより、ドラゴン討伐隊の編成を発表する。呼ばれた者は前へ進み、グランバード司令より各々が退治するドラゴンについての資料を受け取ること。受け取ったのちは各隊に分かれ、作戦会議を開くように。
では、………」
そして戦士たちは各隊に分かれ、別室に移動した。