王国ファンタジア【雷電の民】−ドラゴン討伐編−

「わし先行っとるで」

そう一声掛けるとバシラスの返事も聞かずに彼女は廊下の奥に消えた。



「おい、こらっ。…ったくあいつは…」

はあ、とため息をつくバシラスにセラチアはくつくつと笑った。

「苦労してるねえ」

「いやはや全く。悪い奴ではないんだが、マイペース過ぎる」

「各部族を代表する戦士ですからねえ。一筋縄では行かない方々が揃ってます。まだ彼女なんか可愛いものですよ」

「そんなもんかね。あれはあれで厄介なやつだが。
 …と、すまない。疲れている所を引き止めてしまって。俺もそろそろ行かないと」

とのバシラスの言葉にセラチアは穏やかに微笑んだ。

「いいえ。僕こそ久々に君と話が出来て楽しかったよ」

じゃあまた、と手を振ってセラチアは歩いていった。その姿を見送ってから、バシラスもクラウンが歩いていった方へ歩を進めた。

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