市立青い空学園

転校生 廊下編

突然の振動でクラス内が静まり返る。廊下の方から響いてきた、何か巨大なものが倒れるような音と振動。生徒達に緊張が走る。
みんな椅子や机にしがみつきすぐに下に潜れる体制でじっと待つ。しばらくして何も起きないことを確認すると、生徒達は溜息をつきお互いの無事を確認しあう。
クラス委員は手をあげみんなの視線を集めて、点呼をとる。

「誰か、今ので怪我をした人はいるか？」

生徒達は周りの友人達と確認しあう。
突然、クラス委員の背後から女子の声があがる。

「大変です！田中君が耳に怪我を！」

「今ので怪我をしたわけではないね？田中、超頑張れ」

そう言われた田中は跳ねるように身体を起こし驚愕の表情で振り向く。

「ちょっ！扱い酷くない？！」

クラス委員は無視して話しを進めようと周りを見渡し、無事を確認すると廊下に向き直る。

「一体なにが…」

クラス委員はドアにゆっくり歩み寄って行く。
みんなが固唾を飲んで見守る中、クラス委員はドアに手をかけようと―

「みなさん大変です！」
突然ドアが開き、眼鏡をかけたスーツ姿の男性に生徒達はどうしたら良いかわからず右往左往。男性は自分の前に手を出して固まっているクラス委員を数秒眺め、手を差し出し握手する。

「朝から握手で挨拶とは。さすが私の自慢の生徒！」

「黙れ畜生」

握り潰さんばかりに握力を強めるクラス委員に、男性は奇怪は動きをして訳のわからない言葉を漏らし続ける。
その様子を見て満足気に頷くクラス委員は、男性の足元に何かあることに気付く。
見てみるとそこには巨大でなマグロが。

「でーんと？！」

後ろから見守っていた生徒達も気付いたらしく、まだエラが微妙に動いているそれを見て、

「マグロー！？」

悲鳴に近い声が響いた。