泣き虫girl



「…なに泣いてンの」






あたしの顔のすぐ上にもうひとつ顔があった






「あれ、遼クンじゃないッ!?」





「えー女の子としゃべってるー」







遠くで高い声が聞こえる


…そうだ…この人は…楢橋くん…


これが初めてしゃべったんだ…






「…ん」







「え?」







楢橋くんに差し出された手を受け取ると


手の中にいくつものつめたい感触があった







「…あ」






周りを見渡すとお金が全部なくなっていて


最初みたいにあたしの手の中におさまっていた




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