crystal love
坂道を下った港のバス停から
二駅ほど先の停留所で下車して
ジェイドを海岸通で待たせ、
郵便局に駆け込んでいた。

何とか発送の手続きを終え
郵便局を後にする。

「間に合った?」

不機嫌そうな彼の声。

「ギリギリ。」

気づかぬ振りで答える。

「スゴイねぇ。
いつの間に作ってた訳?」

このオトコの『スゴイ』は、
もはや、イヤミでしかない様だ。

「夜中に計画的かつ建設的に
製作していたんだけど?」

更に、イヤミに気づかぬ振りを
重ねて見舞えば、とうとう
彼は、本来の姿を披露する。

「何で見せてくれないんだよ
前に完成したら見せるって、
オマエ言ったじゃんっ!!」

そんな事で怒らないで欲しい。
見たところで、抽象画なんだし
何かが分かる訳でもあるまい。

「何で、オマエは、
『できたから見て』とか、
そういうのがねーんだよ
ちょっとは、エリスを見習え。」

ジェイドは並び歩きながら
小言を吐き続ける。

「30歳目前になって、そんなことしてたら、バカだと思われるわよ。
そういうのは、若い子がするから、可愛いの!」

「ほぉ〜っ。随分大人げない
30歳だな!」


なんだとっ・・・
このヤローッ

 
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