crystal love
「放っておいてちょーだいっ
私の事はっ
それより、何か
用事があったんじゃないの?」
「うん・・・そうだな。」
彼は、そこで言葉をきった。
夕暮れの海岸線は、週末もあり、
恋人ばかりで、
仲睦まじく過ごしている訳で。
正直、このあまいムードから
私達二人は、あまりにも
かけはなれている。
そばに立つ支柱にもたれ掛かり
周りを見渡せば、相当に
浮いている事が、見て取れた。
ここから離れる事を
提案しようと口をひらきかければ、
タイミングを同じくして、
ジェイドが言葉を紡ぐ。
「なあ、ディオナってさあ、
こういうの見ても、
何も思わねぇの?もしかして。」
「ああ・・・周りの人?」
「そう。」
夕日が眩しい。
「仲よさ気でいいじゃない。
邪魔しないうちに、離れる方が
いいとは、思うよ。」
素直なところを告げれば。
「うらやましい、とかは?」
つまんなそうな表情で、
彼は言う。
「ないね。」
「・・・ビョーキだな。」
私の即答に、心底呆れたって
ジェスチャーまで加えて
彼は、つぶやくのだった。