crystal love
 

「タネあかし・・・
しようか。」

不意に、そういって、
彼は、私の肩をだく。

「なあ、そろそろ、
『その気』になった?」

何を考えているのか
読みようのない表情で
彼は問う。

「え・・・?『その気』
って?」

「前に言ったヤツ。」

・・・・って、いえば、

『抱くつもりだった』
って、ヤツだろう。

頭痛がしてきた。

「ならないよ」

私は、サラッと流す。

「あぁあ・・・。
俺が、あんなに
カマかけてたのにな。
何度も通って。

信じてなかったんだな
・・・。俺の言うこと。」

そんな、溜息交じりの
落胆の声に、さすがの私の頭も
硬直する。

・・・あれは、冗談じゃ
なかったの・・・?

からかわれただけだと、
思っていたんだけど・・・。

「俺さぁ・・・。
お前を指名した時ね。
結婚しようと思ってた。」

「え?」

唐突なジェイドの言葉に
思わず反応してしまった。

もちろん、『誰』となんて
固有名詞もない一言だ。

これ以上の反応なんて
できない。



 


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