crystal love
 

「挨拶をして、直ぐに
そういったんだよ。

・・・そして、
親がいないんだって。
そう、私に告げたんだ。

『それでも、いいですか?』
って。言うんだ。

自分は家族や、家庭って
モノが存在しているか、
分からないから、教えて
ください・・・ってね。

そう、言った。」

そう、なんだ・・・

「私も、その辺のことは
ここへ来て初めて知ったわ。」

直ぐに、ロバートから、
ジェイドの履歴書がメールで
送られてきて、
二人が出会うまで
彼は、孤児院で過ごしていたと
詳細があったらしい。

「この時代だからね。
ある程度、確かな情報だろうが
ジェスの生年月日も、きっと
数日レベルの誤差はあるんじゃ
ないかな。」

父は、写真の中の彼を
目を細めて見つめている。

庭の手入れを手伝う
スーパーモデルって・・・・
絵になってるのが、スゴイ。

「ジェスはね。
観光もイベントも、何も
望まないといった。

『家族』が、どんな風に
暮らしているのか、
学びたいって、言った。

実感したかったんだろうな。」

確かに、教えて、教えられる
類のものではない。

彼にとっては、
未知な集合体である
『家族』『家庭』という単位。

どうやって知るものかなんて
想像し難い物だったのだろう。

 




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