crystal love
 


家に帰るまで待てなかった。


トイレのブースに駆け込んで
こっそりと、手紙を開く。

愛想のない子ねーーー
苦笑する。


そこには


エレナの自宅であろう
アドレスと電話番号と
昨日から、こちらに来ていると
明後日の夜まで居るのだと
書かれていて。

滞在先のホテルと電話番号も
書いてあるけれども

時計を見れば、22時で。


これから会いにいけば
確実に、23時になる。

ーーーダメだな。
帰って電話でもしよう。
頭の中で予定を立てた。


手抜きな夕食をつくりながら
郵便物のチェックをする。

「授賞式の案内・・・?」

来月の半ばに行う
表彰式の案内だった。

式典って、面倒臭くて嫌い。
その辺に、雑に置きざって
受話器をあげた。


ジェイドを呼び出す
コールが数回鳴る。


エレナで別れた時に言われた
言葉を思いだし、
気まずくなって受話器を
降ろした。

まとまってなかった。
何も・・・

絶対聞かれる。


私は、ここでやりなおすために
エレナから出てきた。


彼の気持ちを
受け入れるということは
向こうに戻るということ。


そしてーーーー


何よりも、わたしは


忘れていた。



ーーー自分の気持ちをーーー




 
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