crystal love
「ハロー?」

「ハロー。
休みのところすまない。
ハリソン=スミスだ。」

えっ?

「ボス?」

思わぬ電話の相手に驚く。

「ああ。ディオナ、今日、
時間とれないかな。
急で悪いんだが。」

本当に急な事で、
たいていこんな用事は、
ろくな結果にならない。

「すいません。
今日は、ちょっと・・・」

適当な言い訳を探す。

まあ、彼の場合、
食い下がる事はしないので、
すぐに、この電話も
切ってくれるだろうと
踏んでいた。

「困ったな・・・」

電話の向こうで、呟く声がして
思わず、わけを尋ねてしまった。

「あっ・・・ああ。

友人のパーティーに誘われてね。
エレナ国出身者なんだけど、
僕は生憎、エレナ語は
わからなくてね。」

友人の用意した通訳が、
体調不良でキャンセルになった事
トニーとクリスティーヌの
都合もつかない事を聞かされた。

「出来れば、代わりを兼ねて
同行してもらえないかと
思ったんだ。
やはり、ダメかな・・・?」

面倒な話を聞いてしまった。
でも、ここは、心を鬼にして
断るべきだ。

「はい・・・すいません。」

「ディオナ、頼む。
そこをなんとか・・・」

何で、今日に限って
食い下がるのよ・・・


 
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