crystal love
ジェスは、ここの電話番号を
しらない。
この番号は、実家からの
国際電話だ。
ほっとした気分で受話器を
あげた。
『ディオナ。』
久しぶりの母の声。
「お母さん、元気?」
聞いた私の問い掛けなんて
完全スルーで、少し慌てた風に
言葉をつむぐ。
『ジェスが、そっちに今
戻ってるのは知ってる?』
「ああ、今日来てたわ。」
それなら話が早いわ、なんて、
母は呟いて、用件を述べる。
『ジェスがね、
風邪をひいた様でね。
熱っぽいって言ってたのよ。
明日見てきてくれない?
様子を教えてくれるかしら。』
ちょっと待ってよ・・・
ーーーー男の部屋に、
我が子を派遣しますか?
ああ、母ならするだろう。
母だけでなく、両親は、
実の息子の様に思っているのは
明らかで。
まさか・・・
私が、彼から、何がツボに
はいったんだか、
わかんないけど
言い寄られてるなんて・・・
思わないわよね・・・
私が、信じられないんだから。
世間は信じようがないわよね。
断り様がなくてーーーー
「わかったわ。」
心ここにあらずーーーな、
返事をして電話をきった。