crystal love
時々、汗を拭ったり、
額に乗せたタオルを絞り
取り替えたりするけど
ジェイドは、その度に
薄ら目を開けて、私の所作を
無意識なんだか、ぼんやりした
瞳で追い掛けてくる。

私が隣にいる事を
確認している様に見える。


彼は、こうやって寝込む度
一人でいたんだろうか?
そばに居る誰かを
確認しながら
やってきたのだろうか?


私が居ることを確かめては
瞼を閉じる姿が
何ともいえないくらい
淋しいというか・・・

せつないというか・・・


何とも形容できない気持ちで
彼の髪を撫でる。


その手を、ジェイドが
掌で覆った。


「ディオナ。」

「ん?起こした?ごめんね。」

彼は、答えなかった。

ただ、私の指先に、キスをして
今にも壊れそうな瞳をみせた。


「ディオナ・・・」


「?」

目線で続きを促せば

「向こうにーーーーー

エレナに帰ろーーーー。

俺、やっぱ、嫌だ。
離れてんのは。
地球の裏側にいるんだぜ。
堪えられないんだ。ーーー」

体調のせいもあるんだろう
初めて聞く気弱な台詞に
返す言葉も思い付かない。

 
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