crystal love
少し食事をさせて、
ベッドに横たわらせる。
「映画って、作るの、面白い?」
人間なんて、自分の身が
可愛いにきまっていて、
私は彼の質問の範疇を知るべく
遠回しな現状質問をする。
「うん。キツイけどね。
やりたい事だったし、
充実してる。」
変わらず、案外、ピュアな
受け答えを、彼はして。
多少なり、
こちらの気が抜けた頃
彼は、猛攻を開始する。
「お前、あれ、どーなった?
コンペ。」
「ああ、入賞したよ。」
「受賞式とか、あるんだ?」
「まあね。出ないけど。
仕事休んでまで・・・ね。」
そう、適当に、言葉を紡げば。
「仕事って、そんな大事?」
彼の瞳が光りを放つ。
「お金、もらってんだから・・
大事でしょうが・・・」
絵を描いても、
ご飯が食べられないんなら、
どっちに価値があるかなんて、
考えるまでもない。