crystal love
 

何すんのよ?!コイツ

はずされたブレスレットが
音を立ててサイドテーブルに
横たわった。

「俺は、気にならない。
こんなモノは。」

「私は気になるの!」

「じゃあ、出掛ける時だけ
身につければいい。」

「!!」

次の言葉を紡ぎかけた瞬間
扉をノックする音が響いた。

遅いっつーの

立ち上がろうとした肩を
痛い程の力で腰掛けていた
椅子に押し止め、
ジェイドが立ち上がった。

「俺がいく。そこに居ろ。
ドサクサに紛れて
帰ろうって寸法は、読めてる。」

そういって・・・。



愛想のいい声色や、
談笑する声なんかが
小さく響いた後、
扉が閉まる音が聞こえた。


・・・もう、逃げられない。


漠然と、そんな事を考え、
背中に冷たい汗が流れた。


 


< 140 / 170 >

この作品をシェア

pagetop