crystal love
 

「ダメだよ。ディオナ。

アイツには、

やらない。」


そう、言ってーーーーー 

「アイツはナイーブな男だから
絶対、おまえを腫れ物の様に
扱う。
お前の手首の事だって、
気にするに決まってる。
優しい人だけどね。」

 
当たっているとも、
勝手とも取れる言葉を並べて

「・・・大体、俺の方が、
先に目を付けたんだし。」

唇が触れ合う様な距離で
そう締めくくった。

「じゃあ、誰だったら
良いわけ?」

彼の前髪の毛先が頬をくすぐり
ガラスの様に透き通った瞳が
目の前一杯に迫る、この距離を
何とかしようだなんて
吐き出した言葉が、
炎に油を注ぐ結果となった。


「誰にも、くれてやる訳
ねーだろ

ディオナ・・・
相当、俺をナメてるな。

惚れたオンナは、誰にも
やらねーっ!!」

叫ぶ訳でないけど、
怒りを含んだ語気は
迫力と、彼の本気を
伝えてきて。

「おまえ、覚えてんのか?
俺、言ったよな?
おまえの事はファミリーとして
・・・だけじゃなくて、
オトコとしても想ってるって・・・

ゆったよな・・・?」


 
< 142 / 170 >

この作品をシェア

pagetop