crystal love


「何か食べていく?」

そう誘ったのは、私の方だった。

その場で、別れればよかったのに
病み上がりの体に
外食は酷だろうと
母親のレシピのスープを
エレナに居る時同様
狭いキッチンに2人並び
制作する。

何だか自然な光景

「俺も、味見する。」

ジェスが、私の手から
スプーンを抜き取り、
口に含んだ。

「やっぱ・・・母さんの味に
ならないよなぁ・・・
俺も、何度か作ったけど。」

同感である。

「微妙よね。
このレシピの適量って奴が
クセモノなんだよね。」

「でも、俺より、ディオナの方が
母さんの味に近いね。」

すっかり兄弟の会話。

「・・・でも、たぶん
俺の方が、エリスより上手いと
思うよ。」

「言えてる!!」

2人で笑い出してしまった。

< 148 / 170 >

この作品をシェア

pagetop