crystal love
『じゃあ、単刀直入にいう。
ディオナ、俺と付き合わない?』
ーーーいつになく
真剣な表情の彼だけどーーー
その彼の後ろで、
ちょっと普通では見ない様な
格好いい女性が苦笑・・・
と、いうよりはーーー
苦虫を噛み潰した様な表情で
彼の言動を見つめている。
『あなた、恋人いるんでしょ?』
『いるよ。
ーーーーいるけど・・・
ディオナが、その気なら
別れる。』
相変わらず、真顔で彼は
いうのだけれど・・・
『ねぇ・・・恋人って
ブロンズのカーリーヘアの
とってもキレイな人でしょ。
違う?』
『は?そうだけどーーー』
いたたまれず、後ろを見るように
指で合図すれば、
『ぅげっ・・・』
短くジェスが声を漏らす。
『相手あっての事だから
よ~く、話し合った方が
いいわよ。』
ごゆっくり♪と、ひと声かけて
修羅場の匂いがたちこめる場を
退出した。
あんな美人のあとに
私なんて、はまりっこないでしょ。
本気にしていたら、
ーーーーきっと
バカにされたわね・・・
彼に近寄ると、ろくな事が
おこらない。
そっとしておいてくれ・・・
なんてーーー
あの時は、思ったのだけど。
頬を腫れさせて
その日授業に来た彼に
その原因が思い当たり過ぎて
戸惑った事を思い出した。
彼は、いつもまっすぐだった。
やり方は、滅茶苦茶だったけど。
今朝、彼が発つ時に
残した台詞が
脳裏によぎる。
『俺は、諦めないから。
向こうに戻っても、攻めるから。
俺の事・・・ちゃんと見て。』